下村脩先生(昭和26年卒)の朝日賞贈呈式

 去る平成19年1月29日に朝日賞贈呈式が東京・帝国ホテルで催されました。朝日賞、大佛次郎賞、大佛次郎論壇賞の3賞合同の贈呈式でした。1月30日(平成19年)の朝日新聞朝刊に関連記事が掲載されていますのでご覧になった方も多いかと思います。(asahi.com の記事へ

shimomura01s.jpg

 昭和26年卒の下村脩先生が2006年度朝日賞を受賞され、平成19年1月29日に東京で贈呈式が行なわれました。先生は卒業後、フルブライト留学生として渡米され、米プリンストン大学研究員、名古屋大学助教授などを経て、82年から米ウッズホール海洋研究所上席研究員となられ研究を続けられました。
 研究の中で、「オワンクラゲに含まれる緑色蛍光タンパク質GFPの発見と生命科学への貢献」が評価され、今回の受賞につながったものです。遺伝子研究の進歩とともに、タンパク質に印を付ける道具として応用され、現在では生命科学その他の分野の発展に世界的に大きく寄与しています。先生は受賞の挨拶の中で、蛍光物質の抽出と結晶化には成功したが、自分では用途がわからず、他の研究者のお陰で有名になったとおっしゃっていました。また、挨拶の途中で会場を暗くして、発見したGFPタンパク質の美しく発光する蛍光を見せて皆を驚かせておられました。

greenlight.jpg

 贈呈式は、朝日賞の他、大仏次郎賞、大仏次郎論壇賞と3部門合同で行なわれたため、各分野の方が大勢つめかけ盛大でした。下村先生は明美夫人とともに出席されていましたが、長薬同窓会の関係では、河野信助名誉教授夫妻、明美夫人と長薬で同期の松尾幸子さん、田中良子さん、上野美智子さん、安西美恵子さん、それに同窓会の会長代理として富安が出席し、合計7名でした。下村先生は、米マサチューセッツ州の自宅に研究所を作り研究を続けられているそうです。

shimomura02s.jpg   shimomurafusai_s.jpg

 余談ですが、受賞者の中には、「いもたこなんきん」が人気の田辺聖子さんもおられ、「杖を使って不自由そうでしたが元気そうでした。」とのことでした。
上の写真は富安先生からお送りいただいた贈呈式の模様です。
また、小さな緑色蛍光と下の6枚の携帯写真は松尾幸子さんが撮影されたものです。


zouteishiki.jpg

下村修先生へ朝日賞贈呈

shimomura_kawano.jpg

下村ご夫妻と河野ご夫妻

tomiyasu.jpg

明美さんと富安さん

kawano.jpg

河野先生・富安さん・上野さん

classmates.jpg

参加したクラスメート

tanabeseiko.jpg

田辺聖子女史。後ろが富安さん

同窓会のホームページへ戻る 

下村脩先生(昭和26年卒)の朝日賞受賞が決定

 2007年の最初のお知らせは、正月早々、大変喜ばしいニュースが届きました。昭和26年卒業で、前アメリカ・ウッズホール海洋生物学研究所上席研究員であった下村脩博士が2006年度の朝日賞を受賞することが決定しました。
 朝日賞は、1929(昭和4)年に朝日新聞社が創刊50周年を記念して創設したもので、人文や自然科学など、わが国のさまざまな分野において傑出した業績をあげ、文化、社会の発展、向上に多大な貢献をされた個人または団体に贈られている、大変栄誉ある賞です。
 下村脩先生は昭和26年長崎大学薬学部のご出身で、生物発光研究の第一人者です。主な研究は渡米後に行なわれたもので、発光クラゲであるオワンクラゲからのイクオリン・GFP (Green Fluorescent Protein) の発見とその発光メカニズムの研究が今回の受賞につながっています。この一般には耳慣れないGFPの研究は、生物発光研究の分野にとどまらず、生命科学研究の今日の発展には欠かすことのできない道具として極めて大きな影響を与えました。下村先生は、プリンストン大学・ボストン大学・ウッズホール海洋生物学研究所 (MBL) などに在籍し、オワンクラゲの研究は主にプリンストン大学時代に、ワシントン大学のフライデーハーバー研究所での成果です。(ご存知のようにプリンストン大学はニュージャージーにありますが、おそらく、オワンクラゲをワシントンまで採りに行っていたのだと思います。詳しい方がいましたら教えてくださいと書きましたが、下村先生ご自身からのご寄稿による1995年の同窓会報第35号の記事「発光生物研究40年」を是非お読みください。)また、ウッズホール海洋生物学研究所 (Marine Biological Laboratories; MBL) は、アメリカのマサチューセッツ州ウッズホールにある全米最古の海洋生物学の研究所ですが、単一の研究所としては、最多のノーベル賞受賞者を輩出していることでも知られ、下村先生もここ数年、ノーベル賞候補に名前が挙げられています。

 長薬同窓会同窓会は、先生の今回の朝日賞受賞を心よりお慶び申し上げ、同窓生の皆様にもお知らせする次第です。

GFP01.jpg

 右の写真は、GFPを発現している(右)と発現していない(左)大腸菌の写真です。美しい蛍光です。(もっとふさわしい写真があると思いますが、手元に大腸菌のものしかなかったのでしばらくはこの写真でご容赦下さい。)

1962年の初めてのAequorin精製の論文にはリンクできませんでしたが、1975年のPNAS(1975 Apr;72(4):1546-9.)へのリンクを載せておきます。興味のある方は読んで見てください。もちろん、他にも多くの論文があります。
また、下村先生のお写真はこちらの GFP History のページで見ることができますし、Forbes.com - Magazine Article にも同じ写真が載っているのを見つけました。実際にオワンクラゲから精製したタンパク質を手にした写真です。上の大腸菌が作ったGFPの蛍光と見比べてみるのも面白いかもしれません。皆様も、下村先生の受賞をお祝いしながら、いろいろと検索してみてはいかがでしょうか。

  <以下新聞記事からの抜粋です>
2006年度の朝日賞は、下村脩先生を含む以下の6名に送られることが決定されました。副賞は500万円で、贈呈式は平成19年1月29日の午後4時半、東京・帝国ホテルで行なわれるそうです。
田辺聖子さん(作家:「田辺聖子全集」(全24巻・別巻1)完結にいたる文学活動の業績)
村上春樹さん(作家:世界各国で翻訳され、若い読者を中心に同時代の共感を呼んだ文学的功績)
野村万作さん(狂言師:長年にわたる狂言の優れた上演と幅広い舞台芸術への貢献)
川人光男さん(脳科学者:小脳内部モデル理論の提案・検証と人型ロボットによる脳機能の解明)
近藤孝男さん(時間生物学者:生物時計の分子機構に関する研究)
下村脩さん(発光生物学者:緑色蛍光たんぱく質GFPの発見と生命科学への貢献)
asahi.com の記事へのリンク・贈呈式(07/01/29)

同窓会のホームページへ戻る